システムキッチン扉のノウハウ

 

塗装あれこれ(塗料一般論)

塗料に使われる材料は油類、天然樹脂、合成樹脂、その他の主要素、顔料、溶剤、水
に大別することが出来ます。

塗料は油性塗料からシンナーまで主に7種に大別することができます。
油性塗料
油類と顔料を練り合わせ、使用している油類に合った溶剤でうすめてつくられています。
ラッカー
天然樹脂を溶剤で薄めたものから、天然樹脂と合成樹脂を併用し、その他の主要素と混合したものまでいろいろなタイプがあります。
電気絶縁塗料
合成樹脂の中の電絶用樹脂と電気の不良導体を混合して製造しますが、どうしても電気の導体を使用しなければならない(例えば色を黒くする為にカーボンを使う)ような場合は、導体の混合割合を減らすとか、塗装工程を検討するとか、いろいろと工夫する必要も生じます。
合成樹脂塗料
使用する樹脂によって種々のタイプに分けられ、一番多いのは通称「ペンキ」と言われるアルキッド樹脂系の塗料で、合成樹脂塗料の中の多くのウェイトを占めています。次いでアミノアルキッド樹脂塗料、アクリル樹脂塗料が多く使われています。木工製品に多いウレタンやポリエステルは、塗料全体の中ではあまり大きいウェイトにはなっていません。
水系塗料
名前からも分かるように水に溶ける塗料でエマルション系と水溶性樹脂系の二通りに分けられます。どちらも色々な顔料と練り合わせて使われていることは他の種の塗料と変わりませんが、水系塗料の中の大半を占めるエマルション系塗料は、現在の日本の塗料の類別分類では一番大きい比率を占めています。
その他の塗料
シンナー
【油性塗料】
ボイル油と呼ばれる乾性油が主成分で、これに顔料や乾燥剤を添加したしたものです。
ボイル油の原料には、あまに油、大豆油、サフラワー油、きり油、魚油などがあります。
この塗料の特性は乾燥が遅く、耐水性、耐アルカリ性が劣りますが、刷毛塗り作業性がよく、多少乱暴に塗っても素材に対する保護機能があまり左右されません。値段も安価なため一般的に出回っています。拭き取りに使用したボロ布をそのままにしておくと、酸化熱が蓄積され、発火する恐れがあるので注意が必要です。有名な「漆」や「カシュ-樹脂塗料」もここに分類されます。当社で「自然塗装」として製作しているキッチン扉もここに分類されます。通常の塗装に比べ表面保護性能が劣るうえ、システムキッチン施工後、定期的にお客様自身でメンテナンスをされる必要がありますが、独特な柔らかい風合いを出すことが出来ます。また植物など自然のものを主原料としていますので、その環境性能は他の追随を許しません。
【ラッカー】
ラッカー塗料が開発されたころと前後して「スプレー塗り」という塗装技術が開発されました。この塗料はニトロセルロース(硝化綿)を主成分とし、これに樹脂類を加えて塗膜形成主要素を形成しています。乾燥が速く、塗膜硬度・耐油性・耐久性に優れていますが、合成樹脂塗料と比較すると、一般的にその性能は劣ります。特にシステムキッチン扉という過酷な使用環境を考慮し、当社では殆ど使用することの無い塗料です。
特性は、乾燥が速いので、油性塗料のように刷毛塗り作業性は良くありませんが、速乾性の特徴を活かして、家具業界などでは今でも艶消し塗料のようなトップコートとして使われています。
【合成樹脂塗料】
当社が最も高頻度で使用する塗料で、含まれる主な樹脂の種類によって次のように分けられます。「 アルキド樹脂塗料 」
塗料用のアルキド樹脂は、酸とアルコールを化学的に反応させたものですが、酸として無水フタル酸樹脂を使用することが多いので、フタル酸樹脂ともいわれます。戦前に開発された樹脂ですが、様々に変性して性能が向上しているので、現在でもトップの量をほこっています。
変性する際の油の種類で、短油性、中油性、長油性、超長油性に分けられますが、一般的に溶解性・作業性・顔料混和性・たわみ性・耐水性・保存性は油長の長いほど良くなります。逆に、粘度・光沢・硬度・耐油性・耐変色性は油長の短いほど大きくなります。

「 ビニル樹脂塗料 」
エッチング用と塗料用に大別されます。塗料用は速乾性で耐薬品性に優れている反面、膜厚が薄い、金属への密着が劣る、顔料分散性が悪いといった欠点があります。

「 アクリル樹脂塗料 」
アクリル系エステルなどを主成分とし、アミノ樹脂やエポキシ樹脂を加えた塗料です。樹脂の組み合わせで硬質なものから軟質なものまで、広い範囲の塗料があります。硬度・耐汚染性・耐薬品性・耐熱性などの諸物性がアミノアルキド樹脂塗料よりは優れています。この塗料は変性によって非常に多くの種類があり、木工用から自動車の上塗り用、鋼板のプレコートなど様々な分野で使用されています。当社のUVクリア塗料もここに分類されます。

「 エポキシ樹脂塗料 」
エポキシ樹脂塗料は分子量の巾が広く、液状のものから固形のものまでいろいろなものがあります。この樹脂は科学的な処置で比較的容易に変性することができるので、金属面への塗装に利用されています。一般に、付着性・硬度・耐水性・たわみ性・耐薬品性に優れている反面、耐候性の面では変色・チョーキングを起こしやすいので美装用には向きません。厚膜が得やすいので重防食塗装に適しています。

「 ポリウレタン樹脂塗料 」
ポリウレタンとは、ウレタン結合と呼ばれる化学反応で架橋し硬化する樹脂をいい、硬化方法で次の4タイプに分けられます。
・ポリオール硬化型
当社で使用する塗料の殆どが、このポリオール硬化型に分類されます。ポリウレタン樹脂塗料の代表的なタイプで、A液とB液など2液に分かれています。A液の方が塗膜を形成するポリオールで、ポリエーテル型・ポリエステル型・アクリル型・エポキシ型などがあります。他の塗料でも言えることですが、この成分に顔料が入ってエナメルに、研磨材が入ってサンディングに、艶消剤が入ってフラットになります。一方B液の方が硬化剤で、硬化剤には黄変型と無黄変型(NY:ノン・イエロー)があり、イソシアネートが使われています。イソシアネートはポリオール中の水酸基(-OH)と反応するのが特性ですので、B液の保存にあたっては”必ず密栓”をしておかないと、空気中の湿気(H・OH)と反応し、固まってしまうので注意する必要があります。
・ブロック型
硬化の原理はポリオール硬化型と同様ですが、ポリオール硬化型が2液でやや不便なのに対し、ブロック型はイソシアネートをブロック剤で包んでポリオールと一緒にした1液型になっています。塗装後、加熱することによりブロックが崩れ、ポリオールとイソシアネートが反応します。木工塗装の場合、高温で加熱すると木材が変質・変形するなど不具合が生じますので、このタイプはあまり使われていません。

・湿気硬化型
塗料中に前もってイソシアネートを含ませておき、塗装すると空気中の湿気と反応して硬化します。したがって、塗料は1液型で使用は楽ですが、保管の際は”必ず密栓”をして空気中の湿気と触れないようにしないと固まってしまいます。

・油変性型
湿気硬化型と同様に1液で、あらかじめイソシアネートを反応させてありますが、塗膜になった時の硬化機構は空気酸化です。したがって、湿気硬化型に比べ取り扱いは簡単です。

ウレタンの塗膜は、光沢・肉持ち感・硬度・耐薬品性・たわみ性・耐摩擦性が大きいなど多くの利点がそろっていますが、黄変型の硬化剤を使用すると塗膜が黄変しやすいとか、無黄変の硬化剤を使用すると硬化が遅くなるとか、コストが高くなるといった欠点があります。

「 不飽和ポリエステル樹脂塗料 」
この塗料が他の塗料と違う最大のポイントは“溶剤が蒸発しない”という点です。それは樹脂(エステル)をうすめているモノマー(スチレン)が、一般の溶剤のように塗料を薄めるかたわら、塗料が硬化する過程でエステルの持つ二重結合部と架橋反応して網目構造の塗膜の一部になるからです。但し、多くの場合、スチレンが反応に必要な量より余分に使用されていますので、この余分なスチレンの一部は少し蒸発します。

この塗料は、硬化剤や促進剤を加えても酸素と触れると硬化しません。この為、塗膜になった時、空気中の酸素を遮断してやる必要があります。この方法は2つに大別されます。

・パラフィン型
塗料の中に微量のパラフィン(ワックス)を添加しておき、塗膜になった時表面に薄いパラフィンの層を張って、空気中の酸素を遮断するタイプです。機械的にも電気的にも非常に強い塗膜を形成し、塗膜のレベリングが出やすいのですが、磨いて艶を出すとか、次の塗料を塗ろうとする時は、必ずパラフィン層を除去しなければなりません。

・ノンパラフィン型
パラフィンの代わりにコバルトなどのアクリル誘導体を含み、表層のごく薄い部分だけ一種の酸硬化をし、この皮膜で空気中の酸素を遮断します。パラフィン型に比べ硬度はやや劣りますが、短期間で厚い塗膜が得られるということが最大の特徴で、硬化した塗膜は強固で、機械的に強度に優れ、電気絶縁性も良好。そして次の工程に移る際に表層を除去してしまう必要はありません。値段はパラフィン型に比べ高価です。

【水系塗料】
低公害・省資源と言えば、塗料では無溶剤とか省溶剤型の塗料ということになりますが、水系塗料はその代表的なものです。ポリ酢酸ビニルなど乳化剤で微粒化し、水中に縣濁させたエマルションタイプと水溶性合成樹脂を主成分としたタイプがあります。
エマルションタイプは、酢ビなどの重合体を、主々の添加剤と共に水中に縣濁させたものと、けい砂などの無機質骨材を混入した“骨材入りエマルションペイント”に分かれます。
この塗料は、他の塗料と違い溶剤を使わず、水で薄めただけなので、取り扱いが楽なだけでなく、火災や衛生上の危険が無いというのが最大の特徴です。乾燥後は耐水性があり、光沢はありませんが通気性も備えています。
【その他の塗料】
「酒精塗料」
この種の塗料はセラックニスに代表されます。セラックニスは、アルコールにラックカイガラ虫(インド産)という昆虫の分泌物を溶解したもので、蒸気乾燥型です。単にニスとも言います。
ラック虫の分泌物を精製し作られるものと、ダンマルなどの天然樹脂を溶解し作られるものとがあります。主に刷毛塗りで透明仕上げに用いられますが、セラックニスを塗り重ねると、何も着色を施さなくても、特有の黄褐色を帯びた塗膜になります。強靭でありながら弾力性に富んだ塗膜が得られますが、耐熱性はあまり期待できません。



塗装あれこれ(塗装技術編)
【天然木の塗装仕上げの種類】
天然木の導管(針葉樹の仮導管を含む)を塗膜でどの程度密閉するかによって、オープン仕上げからクローズ仕上げといった塗装表現があります。

  • オープンポアーフィニッシュ当社では自然塗装の製品を除き、「目はじき仕上げ」とも呼ばれる完全なオープンポアーフィニッシュ仕上げは致しません。それは仕上がり感を損なわないためと、完全なオープンにしてしまうと導管に汚れが詰まりやすくなってしまうからです。ですから当社で「オープン」というと、もちろん樹種により異なりますが基本的に写真のような仕上げにしており、一般的には「セミオープン仕上げ」と呼ばれるものです。
  • セミクローズポアーフィニッシュオープンとクローズの大体中間の仕上げです。「目止め」と「中塗り」・「中塗り研磨」によって導管を半分ほど埋める仕上げです。
  • クローズポアーフィニッシュ 「目詰め仕上げ」とも呼ばれますが、「目止め」と「中塗り」・「中塗り研磨」によって導管を写真のようにほぼ完全に埋め、平滑にする仕上げです。平滑になればなるほど、塗膜表面のごみやキズ等、アラが目立ちやすくなります。

【UV塗装】
UV(ultraviolet rays:紫外線)塗装には、建材などに使用される作業性に重点をおくタイプと、仕上がりに重点をおき高付加価値を出す為のものと主に二種類があります。どちらもUVランプで紫外線を照射することにより、ほんの数秒で硬化するのが特徴です。ポリエステル樹脂塗料と同様な厚膜が得られ、硬度の高い塗膜が形成されることから、木工塗料の最先端をいくものとして注目されています。
【グラスコーティング】
塗膜表面に独自の手法でグラスコーティング処理を施し、防水性能・耐汚染性能が各段にアップし、硬度が向上する効果もあります。この塗装の弱点は、塗料が非常に高価なことです。 
【エナメル塗装】
下地処理から当社オリジナルの特別な方法を用いており、深く高級感のある仕上がりが自慢です。量産品とは異なり、システムキッチン1セットからでもこだわりの色をご指定いただけます。
一口にエナメル塗装といっても様々な仕上げがありますが、代表的なもので・・・

  • マット(艶消し)一般的にエナメル塗装といえばこのマット仕上げが多いです。
  • ハイグロスこれらの中で一番品質の差が出るのがハイグロス仕上げです。
    表面の平滑性の差や、色の深みの差、時間の経過と共に起こる塗膜の目痩せなども目立ちやすいです。普及品には納期・価格ばかりが前面に押し出された商品もあるようですが、当社の最高ランクのハイグロス仕上げは、これらと比べ一味も二味も違う商品です。

 

 

  • 梨地この手法は、古来からある塗装表現を現代風にアレンジしたもので、その名の通り梨の肌のような表面です。

  • パール自動車の高級塗装としてお馴染みですが、エナメル中に極小の雲母(マイカ)の粒を混入させた塗装です。この粒が乱反射を起こし、不思議な深みが得られます。
  • メタリックエナメル中に極小のアルミ片を混入させた塗装です。キラキラと輝きがあり、見る角度によって微妙に色味が変化します。メタリック塗装の場合、上塗りにクリア塗装などを施さないと、アルミが空気に触れて酸化してしまいます。

    などがあります。

  • 加工あれこれ
    浮造り加工とは
    • 浮造り加工により木材の硬い部分(晩材)だけが残り、柔らかい針葉樹でもキズが付きにくくなる同時に、立体感が強調されますので針葉樹の表現の幅が広がります。
    框組み
    框組み(かまちぐみ)は、木工技術の基本を熟知したメーカーでしか製作できません。形を作ることが出来ても、基本的な木工加工のノウハウを蓄積していなければ、まともに長期使用できる製品になりません。
    実際に他所の製品であった話ですが、扉が少しの衝撃でバラバラになったとか、梅雨時期を過ぎたら部分的に木材が膨らんで枠が外れた、なんていう笑い話のようなことが起こります。
    【取っ手つき】
    • 通常、システムキッチン扉の取っ手はプラスチックなどの異なる素材で後付されますが、取っ手加工を施すことにより、より統一感のあるデザインが可能となります。福山キッチン場合、定番の「J型」をはじめ「リーフ型」や「スクエア型」などその形状は多岐にわたります。もちろん取っ手内部に突板を貼り、表と同様に仕上げることも可能です。


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